学校 仕事 旅行 フラット 資金 リンク


学校の隣のフラット
NZに来てから1ヶ月間、ホームステイを経験した私が次に生活の場として選んだのは通っていた学校の隣にあった総合住宅の一角で
オーナーが韓国人のフラットだった。
そこは2階建てで、韓国人のオーナーの他にベトナム人の女性と日本人の女性が住んでいた。
クラスが一緒だったジンという同い年の女の子と一緒に入居した。約6畳ほどの部屋にベットとちいさな机があるだけの部屋だったが
明るくて綺麗なフラットだった。 韓国人のオーナーステファンは男性だったが、彼は何故かリビングにベットを置き、そこで寝泊りしていた。
仕事を持っている風でもなく、最初はいい人だと思っていたが後から裏切られ、愛想を付かして私たちは出て行く羽目になるとは思っても見なかった

トイレは1階にも2階にもあったが、シャワールームは2階にしかなかった。
男性と共同で使うのには少々抵抗もあったが、フラット生活とはこういうものだと思って使うことにした。
あとのフラットメイトは全員女性だった。 ベトナム人の女性はマーケットで売り子をしていた。
日本人の女性(ちえぴょん)とは、最初ほとんど顔を合わせることがなかったので、どんな人か判らなかったが私とちえぴょんはここで知り合った。

ある日、2階のトイレが詰まってしまった。誰かが大量にトイレットペーパーを使ってしまったようだ。
ステファンに申し出たがなかなか直らない。結局水道業者を呼んで直してもらうので、当分は1階のトイレを使ってくれと言われた。
しかしいつまでまってもトイレは直らない。 どうなっているのかと聞いても変な英語でベラベラ説明しだし、なんだかよく判らないまま言いくるめられてしまった。
いつの間にか直ったなぁ〜と思っていたら、聞けばステファンが自分で直したらしい。だったら最初から直してくれと思った。
またある日、トイレが詰まってしまった。また直してくれると思って申し出たが面倒臭がるステファン。 ちょっと腹が立つ。
掃除機が壊れたこともあった。 直してくれと言っても直してくれない。 フラットメイト全員で抗議したら『金が無いから修理に出せない』と言い出した。

酷い話だ、ステファンはみんなから集めたフラット代を全部自分の飲み食い代と遊びに使い果たしていていたのだ。
普通は全額は使わず、故障したときに修理代に当てるべきだろう。しかし、これでやっと私もステファンが働きに出て行く必要が無い理由がわかった。

こんなところには居られない、信用できないオーナーのところに住んで居たくない。
デポジットを返してもらい、別のフラットに引っ越す計画が持ち上がった。

その頃、一緒に入居して仲良しだったジンが同じ韓国人のボーイフレンドを見つけて帰ってこなくなった。
どうやらボーイフレンドはもっと設備の整ったマンションに住んでいるらしく、そちらのほうが住み心地がいいようだった。
そんな中、ちえぴょんと話をする回数も増え、ステファンへの不信感から私たちは次第に団結力が強くなり
一刻も早くお互いこのフラットを脱出するべきだという結論に達していた。 もうジンは頼りにならない。
そのうちジンは、荷物をまとめて出て行ってしまった。 私にはなんの相談もナシである。
ただ『ステファンは酷い人』という言葉を残していった。 そんなのとっくにこちらも気づいている話だ。
君が私を誘ってここへ来たのだ。 何とかして欲しいのはこっちだ。ステファンには英語で討論しても通じないし、
韓国語で文句を言って欲しかったのに、なんの助けもナシなんてあんまりだ。
それ以来、私の中では韓国人とはすぐに仲良くなるな…という教訓が生まれた。

一緒に住んでいたベトナム人の彼女も曲者だった。
故郷に婚約者らしき人物が待っていると言うが、国には帰りたくないという。
自分の故郷は空気は悪いし、こんな綺麗な家にも住めない。 こっちに居た方が体にもいい。
お金を貯めて彼にもNZに来て貰い、結婚するのが夢だという。
そんな彼女も一連の事件には腹を立てていた仲間のはずだったが、いつしか急にステファンの味方になっていた。
それ以来、私の中ではベトナム人も要注意となった。

ステファンへの不信感がどんどん募って、私もちえぴょんも我慢の限界。 丁度その頃、ちえぴょんが新しい情報を提供してくれた。
ルームシェアになるのだが、部屋は10畳ほどあり家賃も安い。街から少し離れるが、一緒にそこへ行かないか?という。
ちえぴょんとは、お互い日本人同士だし、彼女はしっかりした人だった。 私は、早速彼女とその家を見に行くことにした。

その家は、いかにも金持ちそうな家でとても大きかった。 見せてくれた部屋はとても広くて、納戸までついていた。
TVもあるし、洗濯物を干すスペースもあった。 オーナーはベトナム人と中国人の夫婦だった。
私たちはその部屋がすっかり気に入ったので、借りることにした。

ステファンともこれでおさらばである。
あとから聞いた話だが、ステファンはどこか別のところへ引っ越したらしい。
替わって、あのベトナム人がオーナーになったと聞いている。

学校 仕事 旅行 フラット 資金 リンク


もどる